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第二十幕 拒絶








十分程前。翡翠が視認したのは、棗だった。
木に登っていった彼を追い、続く。
「棗」
「・・・んだよ」
睨み付けられても、翡翠は憶せず、
「隣り座るよ」
「―やだ」
「分かった。座るね♪」
「やだっつったろ」
「棗のやだはツンデレだって、蜜柑がいってた」
「・・・」

―あとであいつ燃やす・・・

そんな、他愛もない会話。棗にとっては、過去を蘇らせる引き金・・・。
「お前、記憶戻ったらどうするんだ?」
ふと聞いてみた。
しかし。少女は呆気からんと答えた。
「変わらないよ。なぁんにも」

「―」
強いまなざしに、棗は引き込まれそうになった。
「あたしはあたし。記憶がどうだろうと変わんないもん。これまで通り、蜜柑や蛍やルカ、棗と楽しく過ごしたい」
それは、子どもの絵空事。手をどんなに伸ばしても、本当の幸いには、届かない。

それに、彼女の、過去は・・・。

「あ、でも、記憶が戻ったら、棗ともっと話したいな!いっぱい話して、遊びたい!」






―なつめといっしょにいきたいな―






「っ・・・」傷跡が、心の古傷が、疼く。







―だ・・・・・・・れ―

―あなたもあたしをころすの?―


そして








―なん、で―

―信じて、たのに―

―信じてたのにっ!!!―







もう、お前の泣く所なんて見たくないんだ。

だから。

「お前、もう俺に近付くな」

ごめん。

今だけ、哀しまれてもいい。恨まれたらいい。

「・・・な」

だから、ごめん。

「大嫌いなんだよ。お前」












木から飛び降りて、棗は駆けだした。

   決して後ろは、振り返らなかった。
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