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第十八幕 不確定感情












『レディース&ジェントルマン!お楽しみのプレゼント交換の時間がやって参りました!』
会場に響き渡るのは司会の声。皆叫び返す。
「な、なに?」
丁度美咲とやって来た翡翠は、驚いた。
「おー。ナイスタイミング♪」
いつの間にか現れていた鳴海が笑いかける。
「これから大人のお楽しみタイムぐはっ」
翼が蹴りを美咲が殴りを蛍がバカン砲発射を担当し、鳴海は屍化。
「・・・これからプレゼント交換ってイベントをやるんだよ」
そそくさと翡翠に近寄りルカは教えた。
『テレキネシスでプレゼントを皆さんに配ります!勝手に奪い合ったりしないで下さいよ!?』
冗談めかす司会だが、すでに戦闘準備(?)をしている目を輝かせた生徒達が。蛍もフライングスワンに乗って目を輝かせてる。
『行きますよォ。3、2、1…それぇっ!!』

「「「わぁっ!」」」

皆輝いた、期待に満ちた表情で手を伸ばす。まあ中にはものすごい表情で取りにいく人なども居たが。

「・・・っ!取れた」
翡翠もプレゼントを無事取れた。
「蜜柑、蛍、プレゼント取れたぁ」
笑顔で聞くと・・・。
「・・・翡翠。ウチ今年は中身に期待せぇへんねん」
真剣に言われる。
「えーと、なんで?」
一応理由を聞くと黙り込まれた。と、蛍が。
「この子去年は肩叩き券だったのよ」
プレゼントを開けながら暴露する親友に蜜柑は真っ赤になった。
「ほた・・・ち、違うねん!別に去年でこりたとかそんなんじゃないんねん、期待しとかないでとかプレゼントごときで弱気とか・・・」
膨れっ面をしつつ蜜柑は包みを開ける。と、顔を輝かせた。
「可愛いっ!可愛い髪留め!」
顔を喜びに染め上げた。蜜柑色の、石を台にのせたリボン状の髪留めだった。
「明日つけてみなよ」
笑顔で言うと、
「うんっ」
とても嬉しそうに答えた。
「蛍は?」
「私はこれ」差し出されるのは、猫の縫いぐるみ。
しかもお腹を押すと、音楽系アリスの曲が流れ癒し効果があるらしい。
「まぁまぁね」そんなことをいいつつ蛍は嬉しそうだった。
「私は・・・」箱を開けると。
「・・・うわっ・・・」
嬉しさに言葉が出なかった。彼女の瞳の色そっくりな色彩の宝石があしらわれた、指輪だった。
「おーおーお前ら当たり商品か・・・」
燻ってブー垂れる翼には発毛促進帽子が、美咲は桃色の香水を嬉しそうに持ち、鳴海先生は匂い消しゴムだった。
「ルカは?」
「俺は・・・」隠そうとするのを翼がいびって出させる。
「・・・・・・・・・・・・・」
「な、なんだよ!」
「っ可愛いいいい!!!!!」
ルカには犬やらウサギやら鳥やら、縫いぐるみが籠に入った可愛らしい贈り物だった。
「ええやんルカぴょんに似合っとるぅ♪」
「別に・・・」
顔を赤らめ、いじけるルカ。
「可愛いじゃんそれ。ウサギとかルカと一緒にいるウサギンにそっくりだしさ!」
本日ウサギンはお留守他番。
「てか、なんで鳴海センセがおるのん?」
蜜柑の疑問に
「そうね。しかも今年もサンタ・・・」
「へそだしって、恥ずかしくないのかなぁ?」
「シュミ疑うよなー」
毒舌トリオが追い打ちを掛け、再び鳴海は屍と化す。
「・・・いや、特に用って訳じゃ無いんだけれど、翡翠ちゃんにちょっと、ね」
そそくさと手を引かれるまま、広間の隅に移動。
「・・・どう?調子は」
「万全です」端的に答える。それに僅か安堵を抱いた表情で、しかし直ぐ引き締まる。
「記憶は、どう?」
「―」
翡翠は、答えられない。
 一瞬、紅い瞳の少年が、脳裏をよぎる。
「・・・いえ。まだ、何も」
だけど翡翠はそれを告げない。

                           棗

その名を思うだけで。

その姿を浮かべるだけで。

                   く    る      し       い

 違う

この感情は

                   ―・・・

ふと、
視界の端に、とある人物が引っかかる。
「ちょっと、すみません」
翡翠は、走り出した。

「・・・」
その様子をオペラスコープで見ていたのは、のばら。彼女は危険能力系だから敬遠されがちのため、一人で上のテラスから見ていたのだ。
「翡翠ちゃん・・・」
昨日出会った楽しい友達・・・その中の一人の、燦然と輝く笑顔を思い出す。

―そういえば、翡翠ちゃんのアリス聞きそびれちゃった・・・。

ケーキ作りには欠片も役立たないアリスだと彼女は自嘲していたが・・・。
「また、会いたいな」






のばらの願いは、ある意味叶う。悲痛な形でだが。
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