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『とある死刑囚と看守の対談』

友人に頼まれて以前書いたものです←そればっかとかいわないd((
ウサビッチ素敵ですよウサビッチ。カンシュコフさんを旦那さんにしたい←黙れ
ショケイスキーがまじ外道です。キャラ崩壊してたらごめんなさい。

参考1

参考2


追記からです。














処刑人―否、兎か―であるショケイスキーが刃を振い、死刑囚の首が落下するその五分前。
看守兎のカンシュコフは、死刑囚と扉越しの対談を交わしていた。


「僕、家族を全員殺したんです」

突然の告白に、何も返さない看守。構わず続ける死刑囚の表情は、窺えない。
「家が嫌で、家族が嫌で、重くて仕方が無かったから」
掠れた嘲笑めいたものだけが、処刑台のあるこの部屋に響く。
「大して財も無いくせに、人を縛り付けて。望んで成った家族でも無い奴等を、養わなきゃいけなくて」
看守は答えない。
「だから、家を出たくて。殺しました」
その先は、報告を受けている。逃走劇を重ねる内にチンピラ連中を掻き集め、似非マフィアを気取り商売を始めたこの憐れな雄兎は―
「家から出たことのない、良いとこの坊ちゃんがマフィアなんぞ、出来る筈が無かったんです」
巨大マフィアの縄張りをつついてしまった為、文字通り藪の中の蛇にあっさりと潰された。その闘争を止めに来た警官に指名手配だった彼は捕まり、今に至る。
「………何か、言ってくれませんか」
「…………………………」
答えない、彼は答えない。
「………家族を殺して、仲間を作って、好き放題やって。僕は、何を得たんだろう」
ずっと、考えていました。
そして、結論は既に出ていた。
「何も無いんです」
僕には、何もない。
血縁は殺し尽くした。
仲間と思っていた奴等は、組織が狙われた瞬間に散り散りに逃げた。
世間知らずな僕には、自分一人で生きる力も、寄り添い合える本当の仲間を作る力も無く。
宿り木を自らへし折った自分が死ぬ時に、思う。
「生きた証も、僕には無い」
だって、死刑囚の自分を覚えていてくれる人は、誰もいない。僕は居なかったことになり、消える。死ぬ。
「だからっ………」
死刑囚は、泣いていた。泣きながら、笑って居た。



「死ぬのが、今になって、怖いんです」







「………お前は馬鹿だな」
扉越しにようやく返されたのは、短い罵倒。
「……っ知ってます」
小さく聞こえたのは、泣き声か笑い声か。掠れたそれは、判別が付く前に空気に溶ける。






「記憶に残らず、生きた証が無い。そんなこと、死刑囚が怯えてどうするんだろうね?」
首に鎌が振り下ろされ、命を終えた死刑囚を足下に、ショケイスキーは語る。
「人は皆死ぬ。自然に死ぬ物を許可も無く壊したコレを、犯罪者を記憶に刻み込んでおけるほど生物の脳内にキャパシティーは無いだろう?」
「……」
答えない相手に構わず、ドア越しの一方的な問答は続く。
「まあ、それを言ったら一般人だって同じ枠組みの中にいるんだけどね。生物は皆平等、罪人に関してもそれは同じ―――って、とこかな?」
視覚確保の為の隙間から覗く処刑組の目は、焦点が合わないにも関わらずしっかりとこちらに視線を感じさせる。麻薬常習者の様に針穴めいた瞳孔は赤く、ギョロギョロと忙しなく動く。冷静に見つめ返すカンシュコフの碧眼とは対照的だ。
「僕は人を殺す事が好きだけどね、無差別殺人は好みじゃない。死を覚悟した奴を、苦しめずに逝かせてやることが好きなんだ。或る意味で慈善事業だろう?」
「……何度も聞きました」
「これは失礼。でもね……………」
せかせかと動いていた目がぴたりと止まり、碧の眼を見返す。
「さっきの奴はダメだね。死ぬ覚悟が出来てない。死への恐怖に喘ぐ様がそりゃあ無様だった」
だから、僕は言ってやったよ。
「記憶に刻む価値も無い…ってね」
クスクスと、少女の様に笑いながら。ショケイスキーは通り過ぎる。その背中も顧みず、カンシュコフは動かない。


足下に転がる、胴体と頭が分離した男。つい数分前まで自分と言葉を交わしていた、泣いて笑っていた男を、見る。
「………」
無言で彼は、側に跪き、帽子を外す。そのまま手を組み、黙祷を僅かに捧げた。
一分に満ちるかどうかというそれを終え、立ち上がった彼は呟いた。
「…馬鹿言うな。オレは自分の担当した囚人の顔を、忘れた事なんてねぇよ」



その呟きだけが、石造の部屋に響いた。
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