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第一頁 少女と守護獣









「疲れた~~~~~!!!!!」

今し方叫びながらソファに倒れこんだのが、先程”侵入者”を始末し、”本”を取り返した少女―”図書廻廊の守護獣”である。
別名、”兵器”。図書廻廊を守護、侵入者の排除を受け持つ。いわば、廻廊の番人で有り、管理者だ。
そして、そのサポートと事務処理を行っているのが、
「はいはい、お疲れさん」
と適当に返事をしつつ、紅茶を差し出した少女。名は、リィ。姓は無い。
年頃は恐らく、十代半ば・・・つまりは守護獣と同じ。
髪は紫に近い黒、腰下まで伸びたそれは、何故か顔の左半分を覆っている。それすら美的特長と取れるのが、美人の特権だろうか。
瞳の色(といっても右目しか分からないが)は、澄んだ空色をしていた。今はその表情は、純粋な笑顔。
紅茶を飲む少女を見つめ、「どう?」と問うた。
「・・・いつもと同じ、美味い。リンデン?」
「お粗末さまです。そして正解」
ますますその笑顔を輝かせつつ、リィは守護獣の傍らに置かれた”本”を手に取った。
「”イタリア”、無事だね」
「とーぜん」
誰に向かって言ってるんだ、とばかりに守護獣は、胸を張った。
「侵入者もイタリア人だったし、やっぱり、此処の意味が分かってる連中の仕業だね」
若干不安げな表情をする相棒の心配を、兵器であるところの少女はその赤い瞳を揺らがせもせず、笑い飛ばした。
「何辛気臭い顔してんの!敵が来たら戦ればいい。奪われたなら、取り返せばいい。あたしが何年この仕事してると思ってるの?」
まるで、太陽のようなその笑みは、先程まで無機質な表情で侵入者の男を排除していたそれとは、大きくかけ離れていた。
「それともなに?あたしのこと信じてない訳?」
見上げて、いたずらっぽく笑う。
それにつられてか、リィも微笑を零れさせ、言い放った。
「―信じないわけが無いでしょ!」


二人の少女は、今日も巨大な図書廻廊で、膨大な蔵書として在る”世界”全てを、守り、直し、暮らしている。

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