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弟子とバンドと名探偵 Ⅰ

これは作者の妄想でほとんどが構成されています。
一応推理小説っぽいことをしてますが、多分本格派の方にはご満足いただけないと思います。
てゆーか・・・かなり無理矢理こじつけな超展開推理です←
申し訳ありませんが、その点含め、一切の苦情等は受け付けませんので、任意でお読みください。
あと推理ものなので、死体の描写とかあります。生々しくはしないようにはしていますが、苦情は以下略です。
現実の大英帝国、およびその歴史建物組織とは一ミリたりとも関係ないです!!!
あとシャーロック?ホームズの子孫とか出てますが嘘です。彼、『ボヘミアの醜聞』d((以下強制終了

とにかく実在のものと完全無欠に関係ないメルヒェンでファンタジーです←



それでは、追記から。









二十世紀半ば。近代化の一途を辿る諸国に違わず、我が英国もその例に漏れること無い。
その首都の片隅、未だ前時代的な暮らしを営む住人が多い地区、通称『ベーカー街』。そのまた外れにある、小さな下宿屋に、彼はいた。
ロンドンどころか、イギリス中に名の知れた名探偵、シャーロック・ホームズ



―の、子孫(自称或いは記事の宣伝文句)。カロン・ホームス。
先祖らしいシャーロックにも勝るとも劣らない、明晰な頭脳と抜群の身体能力。それらを駆使して彼は、過去五千件の事件を解決した。
―それが、彼が十代の頃の話である。

現在彼は三十代中盤、頭脳はともかく体力不足と言えなくも無い。おまけにここのところ進んでいる¨近代化¨のせいか、依頼はほとんど警察に行くわ、警察はこちらに話も情報も回さないわ。ほんの十年前までとは、態度がまるで変わってしまった。警察に有能な人材が集まったのか、組織として整った今、探偵など前時代的かつ不要とでも解釈されているのか。
しかし、どちらかと言えば非はカロン側にある、原因があった。
それは、


「っぎゃーーー!!!師匠の大切にしてたコーヒーカップをギターの下敷きにしてしまったー!!?」


ガチャンという騒音と共に、そう叫んだ少年。彼が依頼不通の原因にしてカロンの部下、アーサー・ワトサンである。
「…ししょお…」
隣室のキッチンから顔を出したアーサーを、横目で見るだけのカロン。その視線は特段冷たくも優しくも無い。
「…っすみませんでした!」
「何が」
即断される謝罪。無言の空間には、レコード器から流れる洋楽だけが音として存在する。カロンが口の端に咥えたパイプから昇る紫煙を、うろんな目で見つめるアーサー。やがて…
「…師匠のカップがあると知らずに、机の上にギターを置いて、砕いてしまいました」
「…」
再びの、沈黙。
やがて、パイプが師の口から離れた。
「片付けとコーヒー淹れろ、三十分以内だ」
「!…はい!」
元気良く即答し、箒片手にドアの向こうへ再び消えた弟子を、いつの間にか見ていたカロン。再びパイプを咥え、彼は一人ごちた。

「お人好しな俺…」


二十歳になり、正式に探偵事務所を開いたカロン。しばらくは一人で切り盛りしていたものの、依頼が増えるに連れ、人手が欲しくなった。しばらくは友人や親に頼んでいたものの、彼らにも生活があるので、年中無休という訳にはいかない。
十五の時から活躍していた彼は、それなりの稼ぎもあった。なので、『給料は弾む。時間とやる気のある方大歓迎!事務仕事など、経験豊富な方は特に待遇!!』と下心丸出しな気もする求人広告を出した。しかし、中々これ!という人は現われない。諦めかけていた、広告をだしてから半年後の事だった。

『僕を弟子にしてくれませんか?』
夕暮れに、突然現われた少年がいた。採用試験(基礎教養の様な物)は満点、面接でも好感が持てた。何より、多種多様のアルバイトをしているためかハイスペック、試しに淹れさせたコーヒーは、インスタントとは思えない味だった。
『採用していただいて、天にも昇る思いです!』
はしゃぐ少年。と、彼は告げた。
『僕、バンドをやっているので、そちらを優先させて貰いますね!』
そう言い放ち、疾風のごとく立ち去った。

カロンは仮にも探偵である。指先の傷、バッグに付いた流行のバンドのキーホルダー、何より音楽関係の知識問題に必要以上の知識を書き込んでいたことから、予想は付いていた。しかし、面と向かって言われるとは思わなんだ。

それから、数ヶ月間に入った依頼は三百二十件。内二十五件は、電話番のアーサーが多数遅刻をしたため、依頼される前に終わった。残りの二百九十五件は、全てアーサーが冤罪をかけそうになったり、犯人追跡中にボーカルの練習に夢中で逃がしたり、某呟きサイトへの書き込みが原因で尾行が発覚して逃げられたり、カロンの推理を自分の推理とごちゃ雑ぜにして警察に連絡したり、猫や犬と日向ぼっこしている内に張り込んでいた銀行強盗が完遂されていたり…その他諸々の事から、アーサーを雇って半年後には、二ヵ月に一本依頼が入れば良い方だった。
元凶をクビにするなり事務に特化させるなりすれば良いのだろうが、「僕は師匠の一番弟子であり助手です!助手は事件の時、師匠の手助けをするため傍を離れないものです!」という根拠皆無の理論で却下する。その割りには、事件が入ってもライブを優先させるのだが(そういう時に解決した資金と貯金で、給料とカロンの生活費諸々は成り立っている)。それに、当のカロンが超が付くほどのお人好し。貧乏のためバイト尽くしの彼の生活リズムと収入を崩してはいけないという良く分からん義務感から解雇できず、自分の生活費を切り詰めてはそれなりの給金を捻り出している。或いはアーサーの熱意に負けたか。

「どうぞ」
「ん」
机に置かれた、壊されたカップとは違うそれに注がれたコーヒーを、一口飲む。
「―美味いよ」
「ありがとうございます」
心底安堵、といったアーサー。
ふと、金が鳴る音がした。
「あ!すみません、次のバイトがあるんで上がります、それじゃ!」
毎度ながらその早さは正に、疾風のごとく。
残されたコーヒーを味わいながら、カロンは目を閉じた。


「っおはようございます、店長!」
「店を開いた覚えは無い」
「と、違えました。おはようございます、師匠!」
目の下のクマも隠さず堂々と、アーサーは出勤する。事務所兼カロンの書斎であるその部屋の隅、アーサーの定位置になる電話の前に、鞄を投げ捨てた。


―ジリリリリリリリ


「!」
瞬間、アーサーはハイエナの様に素早く受話器に飛び付き取る。
「はい、こちら『ホームス探偵事務所』です。ご用件をどうぞ」
『…て』
「はい?」
『…めてぇ………』
雑音か声の問題か、聞き取りにくいようで、アーサーは再度尋ねた。
「お名前と、ご依頼の内容をお願いし『やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――!!!!ブッ』………」
受話器越しの絶叫を境に、その電話は、途切れた。
「…師匠、いたずらでしょうか?」
問うた弟子にというより、誰にとも無く。
彼は、呟いた。


「何だか、嫌な予感がするなぁ…」


名探偵の勘は侮り難く、その呟きは、的を得た。



翌日の新聞一面を飾る、派手な事件が起きた。
有名なアマチュアピアニストの、惨殺死体が発見された。若い男性で、十八の頃から数々のコンクールで優勝、近年公開予定する映画の主題歌の作曲まで手掛けていたらしい。
死体はピアノに座った状態で発見された。特に心臓が残酷な扱いを受け、犯人は相当の返り血を浴びた様に思える。また、傷の具合から死亡する前と思われるが、指を全て切られていた。仮に生き延びていたとしても、おそらく再起不能だったろうと専門家は語る。そういう意味でも、¨惨殺¨だろう。

「―以上、ロンドンタイムズ紙の一面及び二面からです。次は―」
「もういい」
弟子にさせていた新聞朗読を止めさせて、カロンはコーヒーを舌で転がす。パイプを吸うでも無く片手で弄ぶ。それが彼の思考法。この時ばかりは(無意識下のはずである)邪魔をせず、アーサーはコーヒーを継ぎ足すだけ。
そうして、数分とも数十分ともなる時間が過ぎ、師匠の目は開かれた。
「…アーサー」
「はい」
いつの間にか空になったカップを突き付け、相変わらずの単調かつ口数少なに、しかし正確な指示を出した。


「これを片付けたら、メジレ警部に連絡取れ」



「いやいや、久しいなぁ!名探偵カロン・ホームスとその弟子、アーサー・ワトサン!元気そうで何よりだ!!」
豪快に笑いながら「土産だ」と、茶菓子を差し出す初老の男。彼こそが、まだカロンが駆け出しだった頃から、助け合ってきた盟友(彼曰く)。メジレ警部だ。ちなみに名前はアーサーも聞いた事が無い。カロンもメジレ警部と呼ぶので、師に倣っている。
「ご、ご丁寧にどうもです。メジレ警部こそ、お忙しい中ご苦労様です!」
直立不動で敬礼までするアーサー。
「…捜査の状況は」
挨拶も無く本題に入る、無愛想なカロン。
師弟の対照的な歓迎にも豪快なその性格で対応。つまりはアーサーがむせるほど強く背を叩き、景気づける。そしてカロンにはその笑顔のまま、
「儂も捜査本部から外されたんじゃよ」と答えた。
曰く、若手有能な元警官達が刑事警部に昇格、捜査の指揮を握っているそうだ。
「半年前からのそれは、今じゃ警視庁のほとんどが若手になるほどだ」
「…つまり、捜査情報は渡すに渡せないと?」
結論だけが欲しい、とばかりに愚痴を遮る。しかしメジレは、自慢げに笑った。
「長年の盟友を信じんのか?手土産がクッキー一箱でおわるほど、このメジレは落ちた覚えは無いのう」
そう吐き捨て、同時に懐から、茶封筒を卓上に投げ捨てた。わずかに中身が零れ見える。それを見、僅かにカロンの眉が動く。
一方アーサーは、追加のコーヒーが入ったポットを落としかねん勢いで中身に見入り、絶叫した。



「それって、捜査資料じゃないですかーーーーー!!!!!!」





メジレ警部はそれを見て、豪快に笑うだけだった。
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