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第二十四幕 想イ出・1 修学旅行







―痛い 

        苦しい 
         
                寒い・・・
あたしは、もう、

       消えるのですか・・・?








                                兄様・・・







―あれは、俺達の学年が、修学旅行を迎えた日。それが、全ての始まりだった。

明け方七時頃。家族に見送られ、棗とルカを含む学年の生徒を乗せたバスは、走り出した。
行き先は、県を挟んだ遠くの田舎街。
そこは、噂では政治家も手を出せない程の権力を持った大家が治める、自治村・・・いや、自治県だった。







「棗君ルカ君。噂知ってる?今から行く街に出るって言う、幽霊の話!」
前の席に座る女子達が尋ねる。
「ゆ、幽霊?」ルカは聞き返し、棗は無視した。
「うん。あたし行き先の近くに住んでる友達いるんだけど、その子が割りと最近流行出した噂話を教えてくれて・・・」
女子達が語る話はこうだった。


町外れの森に、灰色の堀っ建て小屋がある。そこに行くと女の呻き声がして、近付けば髪を振り乱した血みどろの幽霊がいる。
そして、出会ったら最期。連れ去られ、二度と帰れない・・・。

「こんな感じ。んで、一日目の夜にやる肝試しがその森なんだって!」
「「怖いねぇ」」
キャーッと怖がる少女らに棗は。
「・・・幽霊なんている訳ないだろ。馬鹿じゃねぇの」
「「っ・・・カッコいいわ棗君!!!」」

はい。大量の女子が集まる。

そうして一行は向う。






着いた村は、普通だった。どこまでも普通。特徴のない日本風家屋が並ぶ住宅街。何処にでもありそうな、商店街。子どもが集まる駄菓子屋。主婦が井戸端会議を始める八百屋。魚屋、肉屋。衣服店などもある。
「なんか、田舎を具現したみたいだな。普通すぎる」棗は率直に言った。
旅館までの道も普通。住宅が疎らになり、田畑が多い開けた場所を通過し、なだらかな山林を上り、旅館に着いた。



部屋は二人か三人ずつだった。
棗とルカは三人部屋に二人で泊まった。





夜。肝試しは、男女四人で林奥にある祠の札を取って来る事。いたってオーソドックスなルールだ。


「棗はお化け怖くないの?」
ふと、ルカが聞くと棗は嘲笑った。
「ルーちゃんは怖いんだ?」
「な・・・!!ルーちゃん言うな!!!」
母が言う名で呼ばれ、真っ赤になるルカ。それは棗の妹、葵が使うのだが棗はからかいに使うから達が悪い。
「はい。棗君達の班いってらっしゃあい!」
担任の合図で、さっきの女子等と共に行く。



「ねぇ、さっきの話で出た林ってここなんだよぉ!奥って幽霊の小屋近くだよ!」
「どおしよ、怖いよぉ・・・」
早くも女子が半泣き。
棗は懐中電灯片手にすたこら進む。ルカは三人の間をおろおろする。
と、そうこうしている内に噂の『林の奥』に着いた。







                           『―うぅぅ・・・』








「「っきゃあああああああ!!!!!!」」
突然恐ろしい呻き声がした、と思ったら、女子達は脱兎の如く逃げ出した。
「え―今のっ・・・」




                           『―うぁっ・・・』




また、聞こえた。
「棗、どうする・・・棗?」
彼は、大分先に構わず進んでいた。




そして。




「あれ、見ろよ」
噂の描写そっくりの、灰色の廃屋があった。
窓には鉄格子、戸は金属製。まるで囚人の部屋だ。
「見て、みる?」
「他にどうしようもないだろ」
そして、鉄柵の間から少年達は、



















                                地獄を、見た。
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