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第二十一幕 誓約―キス








現在へ戻る。

「私の事、嫌いならなんで連れて来たの。貴方の望みはなんなのよ!?」
「・・・」

棗は答えない。

「私が嫌いならほっとけばいいじゃない。私には、棗の心が、望みが分からない。何が、私になにをさせたいのよ?」



糾弾する少女。
泣き虫なくせに、強がりで。
自分がボロボロなくせに、人の事ばっかり心配して。
そして、誰よりも綺麗に笑っていて・・・。



―俺は・・・





棗の手が、伸びる。
「棗は―――っ!!!」







そのまま、彼女を引き寄せ、キスした。







「!!・・・」

驚きに固まった翡翠。だけど・・・。
―どこかで、感じた事ある・・・。
この黒髪のくすぐったさ、赤い瞳、柔らかい唇の感覚。甘い吐息・・・。









大分長い間、そうしていた。しかし、どちらともなく離れる。

互いの頬が、赤く染まっている。

「・・・ユゥリ」
棗が、なにか言いかけた。

その時。

『初等部B組の日向棗君。日向棗君。至急VIPルームまで来なさい。繰り返す―』

棗の顔が、凍る。
翡翠は。
完璧な笑みを浮かべ、言った。
「いってらっしゃい。絶対、帰ってきてね、待ってるから!」

誓約の、文を。

「・・・おう」

棗は誓い、走ることを選んだ。

彼は、背を向け駆け出した。












 その背中には、今度は悲哀などなかった

                  ただ、“帰る”という
                                意志だけがあった
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